産後の抜け毛の記事を読むと、必ずこう書いてあります。
「タンパク質・鉄分・亜鉛をしっかりとりましょう」
私も読みました。そしてできませんでした。自分のごはんは立ったまま5分。「今日ちゃんと食べたっけ?」という日が普通にありました。
この記事を書いている私(さんママ)は、男の子を3人産んだ母です。産後の抜け毛は3回とも経験しました。しかも私は、栄養に気をつけるどころか、自分から栄養を切っていた時期があります。
ここでは、髪に必要な栄養素の話と、育児中でも現実的にとれる方法を、私の失敗も含めて書きます。「ちゃんとした食事をしましょう」で終わる記事にはしません。それができないのが産後だからです。
ここで紹介するのは食べ物・栄養素の話であって、抜け毛を治す方法ではありません。食品には、髪を生やしたり脱毛を治療したりする効果はありません。
産後の抜け毛はホルモンの変化によるもので、多くは時間とともに戻ります。栄養は「戻る土台を削らないため」のものと考えてください。抜け方が極端・長く続くときは皮膚科へ。授乳中の方は、サプリメントを使う前に必ず産院や薬剤師さんに相談を。
そもそも、産後の抜け毛と食事は関係あるの?

私も最初は「食事は関係ないでしょ」と思っていました。だって原因はホルモンだから。
実際、産後の抜け毛の主な原因はこう言われています。
- ホルモンバランスの変化:妊娠中はエストロゲンが増えて髪が抜けにくい状態になる。出産後にそれが急激に減り、抜けずに残っていた髪が一気に抜ける
- 毛周期(毛髪サイクル)の変化:髪は抜けたらすぐ生えるわけではなく、3〜4ヶ月ほどの休止期がある。だから一気に抜けたあと、しばらく生えそろわない
- 生活サイクルの変化:睡眠も食事も、産前とはまったく別物になる
つまり「抜けること自体」は食事のせいではありません。ここは、はっきりさせておきたいところです。
でも、私は考えが変わりました
考えが変わったのは、単純な事実に気づいたからです。
ということは——材料が足りなければ、新しい髪はつくれない。
抜けるのは止められない。でもそのあと生えてくる分の材料まで自分で削っていたら、戻りが遅くなるのは当たり前だな、と。
そして私は、まさにそれをやっていました。
私は無理なダイエットで、自分から栄養を切っていました

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
産後、体型が戻らなくて焦っていた
産後、体型がなかなか戻りませんでした。それが嫌で、私がやっていたのがこれです。
- 断食
- 炭水化物抜き
- 肉抜き
- とにかくローカロリーなものだけを食べる
髪の材料はタンパク質です。その肉を、自分で抜いていた。しかも授乳で栄養は持っていかれる。今考えると、髪にとって最悪の組み合わせでした。
当時は抜け毛を「産後だから仕方ない」と思っていましたが、あの食生活が追い打ちをかけていたのは間違いないと思っています。
産後の体型は、戻らない時期があって当たり前です。私はそれを無理に戻そうとして、髪で代償を払いました。
体重を落とすのは、体と髪が落ち着いてからでも遅くありません。順番を間違えると、私みたいになります。
ちなみに、心も限界でした
正直に書くと、その時期の私は産後うつのような状態で、毎日泣いていました。
眠れない、体型は戻らない、髪は抜ける。栄養のことなんて考えられる状態ではなかったです。だから「食事に気をつけられない自分」を責める必要はまったくないと、経験者として言えます。
髪に必要な栄養素は?|結論はこの4つ

調べていくと、髪に関わるとされる栄養素はこのあたりに集約されます。
| 栄養素 | 髪との関わり | 多く含む食べ物 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 髪の約8割はケラチンというタンパク質。材料そのもの | 肉・魚・卵・大豆製品・チーズ |
| 鉄分 | 毛根に酸素や栄養を運ぶのは血液。不足すると届きにくくなると言われる | 赤身肉・レバー・あさり・小松菜 |
| 亜鉛 | タンパク質がケラチンに再合成されるときに関わるとされる | 牡蠣・レバー・かぼちゃの種・きなこ |
| ビタミンB群 | タンパク質の代謝に関わる | 豚肉・卵・納豆・のり |
ざっくり言うと、タンパク質が「材料」で、鉄分が「運ぶ人」、亜鉛とビタミンB群が「組み立てる人」というイメージです。だからどれか1つだけとってもうまく回らないんですね。
産後に必要なタンパク質の量は?|卵7〜8個分という現実

ここでいつも心が折れます。
成人女性が1日に必要とされるタンパク質は、およそ50g。しかも授乳中はさらに20gほど多く必要とされています(厚生労働省の食事摂取基準)。
50gと言われてもピンとこないので、身近なもので言うと——卵およそ7〜8個分です。授乳中なら、そこにさらに上乗せ。
私は無理でした。だからここからは「どう頑張るか」ではなく、「どうラクをするか」の話をします。
育児中でも現実的にタンパク質をとる方法

私が3人ぶんの産後を通してたどり着いた、考えなくてもできる方法です。
①「片手で食べられるか」で選ぶ
産後の食事の最大の制約は、栄養知識じゃなくて手が空かないことです。だから私は抱っこしたまま食べられるかを基準にしていました。
- ゆで卵:まとめて茹でて冷蔵庫に。むくだけ
- チーズ:個包装のものを、目に付くところに
- ヨーグルト・飲むヨーグルト
- 納豆:ごはんがなくてもそのまま食べられます
- ちくわ・魚肉ソーセージ:封を開けたら終わり。常温で置ける
②「具沢山の味噌汁」をひとつ作っておく
豆腐・卵・わかめ・野菜を放り込むだけ。献立を考えなくていいのが最大の利点です。大きめの鍋で作って、温めるだけにしていました。
タンパク質と水分と塩分が一度にとれるので、産後の「立ったまま5分」にはこれが一番効率がよかったです。
③豚こま肉と卵を切らさない
豚肉にはビタミンB群が多く、しかもスーパーで安い。豚こまは我が家の常連でした。卵は必須アミノ酸がバランスよく入っているとよく言われる食材です。
凝った料理はいりません。豚こまを焼いて塩、卵を落とす。それで十分です。
④どうしても食べられないなら、飲む
そして私が最終的にたどり着いたのがプロテインでした。飲むだけなら片手でいけます。
「プロテインって筋トレの人が飲むものでは?」と思っていましたが、要するにタンパク質の粉です。卵7個食べられない日に、コップ1杯で補える。産後にはこの手軽さが本当にありがたかったです。
プロテインを飲み始めてから、髪の伸びが早くなりました。
私は白髪が多いタイプなので、伸びるとすぐ分かるんです。1ヶ月で2cm以上伸びていて、美容室に行く頻度が増えたくらい(うれしい悲鳴です)。
※これは私個人の感想で、効果を保証するものではありません。同じことが起きるとは限りません。
プロテインやサプリメントは製品ごとに成分がまったく違います。「タンパク質だから安全」と自己判断せず、パッケージの表示を確認して、不安なら産院や薬剤師さんに相談してください。子どもと一緒に飲めるタイプもありますが、それも表示の確認が先です。
鉄分|妊娠中に「貧血ぎみ」と言われた人は要注意

タンパク質の次に大事だと思っているのが鉄分です。
なぜ鉄が髪に関わるのか
髪は毛根にある毛乳頭が、毛細血管から酸素や栄養を受け取って育ちます。鉄が足りずに体内の酸素が減ると、そこまで十分に届きにくくなると言われています。
つまり材料(タンパク質)があっても、運ぶ人(鉄)がいないと現場に届かないということですね。
心当たりがある人はけっこう多いはず
妊娠中に「貧血ぎみですね」と言われて鉄剤を飲んでいた人。——私です。
妊娠中から足りていない状態で出産して、そこから授乳。鉄が足りないまま産後に突入している人は、実はかなり多いんじゃないかと思っています。
自己判断で鉄のサプリを足すより、まず数値を知るほうが先です。鉄はとりすぎもよくないと言われるので。
鉄分が多い食べ物
- 赤身の肉・レバー(吸収されやすいタイプの鉄)
- あさり・しじみ:味噌汁に入れるだけ。これが一番ラクでした
- 小松菜・ほうれん草
- 納豆・厚揚げ
コツはビタミンCと一緒にとると吸収されやすいと言われること。難しいことはしなくても、食後にみかんを1個くらいで十分です。
亜鉛・ビタミンB群|牡蠣とかぼちゃの種が優秀

タンパク質は、体の中でいったんアミノ酸に分解されてからケラチンとして組み立て直されると言われます。そのときに関わるのが亜鉛とビタミンB群です。
亜鉛が多い食べ物
- 牡蠣:亜鉛といえばこれ、というくらい豊富です
- 豚レバー
- かぼちゃの種:ナッツ類の中でも多め。おやつ代わりにつまめるのが産後には最高でした
- 焼きのり・きなこ:ごはんやヨーグルトにかけるだけ
私が続けやすかったのは、圧倒的にかぼちゃの種です。牡蠣は毎日食べられませんが、これは袋を開けておけばつまめます。
※含有量は食品や部位によって幅があります。正確な数値は文部科学省の食品成分表などで確認してください。とりすぎにも注意が必要な栄養素なので、サプリで大量にとるより食べ物から少しずつが基本です。
ビタミンB群
豚肉・卵・納豆・のり。……気づきましたか?タンパク質の食材とほぼ同じなんです。
つまり豚こまと卵と納豆をまわしておけば、タンパク質もビタミンB群も一緒に入る。産後に覚えることは、これくらいでちょうどいいと思います。
よくある質問(Q&A)

A. 止まりません。産後の抜け毛はホルモンの変化によるもので、食事で止められるものではないです。栄養は「抜けたあとに生えてくる分の材料を切らさないため」のもの、と考えるのが正確だと思います。
A. ここは私が「大丈夫」と言える立場ではありません。製品ごとに成分が違うので、必ず表示を確認して、不安があれば産院や薬剤師さんに相談してください。
A. これも医師に聞くのが正解ですが、経験者としては「焦らないで」としか言えません。私は焦って肉を抜いて、髪で払いました。体型は後から戻せますが、その間に抜けた髪は待つしかないです。
A. 具沢山の味噌汁と、ゆで卵。この2つだけで十分だと思います。完璧な献立を目指すと100%続きません。
A. 産後の抜け毛は半年〜1年ほどで落ち着くことが多いです。1年以上たっても明らかに止まらない・一部だけぽっかり抜けている・地肌に炎症があるときは、栄養の問題ではない可能性があります。皮膚科で相談してください。
まとめ

- 産後の抜け毛の原因はホルモンの変化。食事で止められるものではありません
- ただし生えてくる分の材料は食べ物からしか来ません
- 髪に関わるのはタンパク質(材料)・鉄分(運ぶ)・亜鉛とビタミンB群(組み立てる)
- 必要量は1日およそ50g、授乳中は+20gほど=卵7〜8個分。まともにやったら無理です
- だから片手で食べられるものと具沢山の味噌汁、足りなければ飲む
- 妊娠中に貧血を指摘された人は、産後健診で数値を聞いてみてください
- 無理なダイエットだけはしないでください。私がそれで失敗しました
最後に。
この記事を「ちゃんと食べなきゃ」というプレッシャーとして受け取らないでほしいです。産後に足りていないのは栄養知識ではなく、時間と体力なので。
だから考えなくても口に入るものを、家に置いておく。それだけで十分です。私が3回の産後でたどり着いた結論は、結局そこでした。
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